「Wi-FiやVPNに頼らずリモート保守ができる」と聞くと、「本当にネットワークなしで動くの?」「セキュリティは大丈夫なの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
Splashtop by Misora Connectでは、リモートアクセスツール「Splashtop」とミソラコネクトの法人向けモバイル通信サービスを組み合わせることで、
現場の既存Wi-Fiや有線LAN、VPN環境に依存しにくい遠隔保守環境を構築できます。
ここでいう「Wi-Fi・VPN不要」とは、通信環境そのものが不要という意味ではありません。
現場側の通信手段としてSIM回線を利用することで、既存の社内ネットワークやWi-Fi、VPN環境を利用せずにリモートアクセスできる構成を取れる、という意味です。
この記事では、専門的なネットワーク知識がなくても分かるように、Splashtop by Misora Connectの仕組みとセキュリティについて解説します。
現場保守が抱える2つの課題
近年、DXの推進や人手不足を背景に、製造業や設備管理の現場では「現地へ行かずに保守・確認したい」というニーズが高まっています。
一方で、実際にリモート保守を導入しようとすると、主に次の2つの課題があります。
課題① 既存ネットワーク改修の負担
リモートアクセス環境を構築する方法の一つとして、VPNがあります。
VPNは、離れた拠点や端末を論理的なプライベートネットワークで接続する仕組みです。構成によっては、VPNゲートウェイの設置や設定、ルーティング、アクセス制御、セキュリティポリシーの変更などが必要になる場合があります。
拠点数が多いほど、設計・構築だけでなく、導入後の運用やトラブル対応の負担も大きくなります。
そのため、「既存ネットワークをできるだけ変更せずにリモート保守を導入したい」というニーズがあります。
課題② 現場ごとに通信環境が異なる
工場や建設現場、店舗、屋外設備などでは、必ずしもリモート保守に利用できるWi-Fiや有線LANが用意されているとは限りません。
また、既存ネットワークがあっても、セキュリティポリシー上、外部サービスとの通信を追加することが難しい場合があります。
リモートアクセスツールを導入するだけでは、現場側に通信環境がなければ利用できません。
そのため、リモートアクセスの仕組みと、現場から外部へ通信するためのネットワーク環境をあわせて考えることが重要です。
Splashtop by Misora Connectの基本的な考え方
Splashtop by Misora Connectは、
「リモートアクセス」
×
「モバイル通信」
を組み合わせて提供するソリューションです。
それぞれの役割は次のように分かれています。
Splashtop
接続先となるPCやサーバーなどを遠隔操作するためのリモートアクセス環境を提供します。
ミソラコネクト
SIMを利用したモバイル通信や、用途に応じた閉域接続・アクセス制限などの通信環境を提供します。
例えば、工場や遠隔地に設置された制御PCやIoTゲートウェイにモバイル通信環境を用意し、Splashtopを組み合わせることで、本社や自宅などにいる保守担当者が現地へ移動せずに対象機器へアクセスできる構成をつくることができます。
構成イメージ

Splashtop by Misora Connectの主な特徴
Splashtop by Misora Connectには6つの特徴があります。

① スムーズなリモート操作
Splashtopは、画面転送技術やデータ圧縮などを活用し、遠隔地にあるPCのデスクトップを操作できます。
ネットワーク環境や端末性能にも左右されますが、現場PCの状態確認や設定変更、ソフトウェア操作などを遠隔から行うことができます。
② ファイルを端末へコピーせずに作業できる
一般的なリモート操作では、接続先PCの画面を転送し、その画面を見ながら操作します。
そのため、ファイルそのものを手元のPCへダウンロードせずに作業することができます。
なお、Splashtopにはファイル転送機能も用意されているため、必要に応じて管理者側で利用ポリシーを設定することが重要です。
③ VPN構築やポート開放を抑えた導入が可能
Splashtopでは、接続先端末から外向きに通信を開始する方式を利用します。
そのため、一般的な構成では、インターネット側から接続先PCへ直接アクセスするためのポート開放を行う必要がありません。
既存ネットワーク環境や端末設定などの条件が整っていれば、VPN装置を新たに構築する場合と比べて、比較的短期間で導入できる可能性があります。
④ 複数のセキュリティ機能
Splashtopでは、リモートアクセスを保護するためのさまざまな機能が用意されています。
例えば、
- 多要素認証(MFA)
- デバイス認証
- ユーザーごとのアクセス権限設定
- セッションログ管理
- 暗号化されたリモートセッション
などを活用できます。
企業のセキュリティポリシーに応じて、必要な機能を組み合わせて運用できます。
なお、利用できる機能は製品・ライセンスによって異なります。
⑤ 現場に人がいなくてもアクセスできる
無人アクセスに対応した構成では、接続先となるPCが起動し、Splashtop Streamerが動作して通信可能な状態であれば、現場に担当者がいなくても遠隔から接続できます。
工場設備の制御PCやサーバー、無人拠点などの保守にも活用できます。
⑥ 複数拠点の運用を効率化しやすい
リモートアクセス環境を整えることで、担当者が現地まで移動する必要を減らすことができます。
複数拠点に同じ仕組みを展開すれば、遠隔地にある機器を集中して管理・保守する運用も検討できます。
なぜ「通信」と「リモートアクセス」をセットで考えるのか
リモートアクセスを行うためには、接続先となる機器がネットワークにつながっている必要があります。
Splashtopはリモートアクセスの仕組みを提供しますが、Wi-Fiや有線LAN、モバイル回線そのものを提供するサービスではありません。
そのため、工場・建設現場・屋外設備など、既存の通信環境を利用しにくい場所では、別途通信手段を用意する必要があります。
そこで、ミソラコネクトのSIM通信を組み合わせます。
例えば、現場PCをSIM対応ルーター経由でモバイルネットワークへ接続すれば、現場の既存Wi-Fiや有線LANに依存せず、Splashtopへ接続する通信経路を用意できます。
ポート開放が不要になる仕組み
従来のリモート接続方式では、外部から対象機器へアクセスできるよう、ルーターなどに外部からの通信を受け付ける設定が必要になる場合があります。
Splashtopでは、接続先となる端末側からSplashtopのサービスへ向けて通信を開始します。
こうした通信を「アウトバウンド通信」と呼びます。
インターネット側から対象機器へ直接アクセスする構成ではないため、一般的な利用構成では、対象端末を外部へ直接公開するためのポート開放は必要ありません。
これにより、プライベートIPを利用するモバイル通信環境でも、Splashtopを介してリモートアクセスできる構成を取ることができます。
VPNとの違い
VPNも安全性に配慮したリモート接続を実現する代表的な方法です。
VPNでは、拠点や端末間に論理的なプライベートネットワークを構築します。
構成によっては、
- VPNゲートウェイの構築
- ユーザー認証
- ルーティング
- アクセス制御
- ネットワークポリシーの設定
などが必要になります。
一方、Splashtopでは、リモートアクセス対象となるPCやデバイスごとにユーザーのアクセス権限を設定できます。
そのため、「特定の担当者だけが特定のPCへアクセスする」といった運用を構築しやすい点が特徴です。
VPNとSplashtopのどちらが適しているかは、既存ネットワークの構成やアクセス対象、セキュリティ要件によって異なります。

Splashtopで実現できる主なアクセス方式
Splashtop by Misora Connectでは、主に次のような利用方法があります。

無人端末へのリモートアクセス
工場の制御PCやサーバー、IoTゲートウェイなど、現場に利用者がいない端末へ遠隔アクセスする用途です。
接続先の端末が起動し、Splashtop Streamerが動作して通信可能な状態であれば、担当者が現地にいなくてもアクセスできます。
有人端末へのリモートサポート
現場担当者が利用しているPCや端末を、別の場所にいるサポート担当者が遠隔から確認・操作する用途です。
操作方法の案内やトラブルシューティング、設定変更などに活用できます。
Connectorを利用したアクセス
Splashtop Connectorを利用すると、ネットワーク内にある端末や機器へ、RDP・VNC・SSHなどのプロトコルを利用してアクセスできます。
対象機器自体にSplashtop Streamerをインストールできない場合にも、Connectorを中継点として利用できる構成があります。
例えば、
・Windows PC/サーバーへのRDP接続
・VNC対応端末へのアクセス
・Linux機器やネットワーク機器へのSSH接続
などに活用できます。
GUIを持たないIoT機器やLinux端末などへのコマンド操作にも利用できます。
Splashtopの主な技術・セキュリティ機能

通信の暗号化
Splashtopのリモートセッションでは、TLS 1.2およびAES-256ビット暗号化を利用して通信を保護します。これにより、リモート操作中の通信内容を保護します。
対応OS
Splashtopは、Windows、macOS、Linux、iOS、Androidなど、複数のOSに対応しています。
実際に利用できる機能は、製品・ライセンス・OSによって異なります。
有人端末へのリモートサポート
製品やライセンスによって、次のような機能を利用できます。
- ファイル転送
- セッション録画
- チャット
- マルチモニター表示
- リモート再起動
- Wake-on-LAN
Wake-on-LANは、対応するPCやネットワーク環境で、ネットワーク経由でPCを起動するための仕組みです。
利用するには、PCやネットワークアダプター、ルーターなどの対応と事前設定が必要です。
認証・ガバナンス機能
- 多要素認証(MFA)
- デバイス認証
- ユーザー・端末ごとのアクセス権限
- セッションログ管理
などを利用できます。
これらを組み合わせることで、誰がどの端末へアクセスできるかを管理できます。
ミソラコネクトの通信サービスと組み合わせる
Splashtop単体でも、インターネットへ接続できる環境があれば利用できます。
一方、現場の既存ネットワークを利用できない場合や、通信経路・通信先をさらに制御したい場合には、ミソラコネクトの法人向けモバイル通信サービス「M-Air」と組み合わせることができます。
利用要件に応じて、次のようなオプションがあります。
モバイル閉域網サービス
インターネットを経由せず、決まったSIM同士だけで通信できる閉域網接続サービスです。SIMを差すだけで、安全で低コストなSIM間通信を導入できます。
インターネットを介した一般的な通信とは異なるネットワーク構成を取ることができます。
利用するシステム構成によって接続要件が異なるため、Splashtopのサービスと組み合わせる場合には、必要な通信先やネットワーク構成を事前に確認することが重要です。
閉域接続サービス
モバイル回線から、お客さまが利用するクラウド環境や社内ネットワークなどへ閉域で接続するためのサービスです。
例えば、
- ISDN回線の置換
- 監視カメラのモバイル通信
- 社内システムへのセキュアなアクセス
などへの通信経路を、インターネット経由とは異なる構成にすることができます。
IPアクセス制限サービス
指定したグローバルIPアドレスに対してのみ、端末(SIM)からの通信を許可するサービスです。
例えば、IoT機器から特定のクラウドサービスやサーバーだけに通信させたい場合に利用できます。不要な通信先へのアクセスを制限することで、通信先を限定したネットワーク運用が可能になります。
また、不要な通信を抑制することで、利用状況によってはデータ通信量の削減につながる場合もあります。
用途に合わせて選べる3つのパッケージ
Splashtop by Misora Connectでは、用途に応じた複数のパッケージを用意しています。
※料金・提供条件は変更される場合があります。最新情報はミソラコネクトまでお問い合わせください。

① 自宅PCや外出先から会社PCを遠隔操作
対応ライセンス
Remote Access Pro/Enterpriseなど
Splashto、SIMとモバイルルーターをパッケージとして提供し、VPN装置を新規に構築することなく、届いたその日から利用を開始できます。Windows 10のサポート終了に伴う移行先としてもご検討いただけます。
料金目安
月額5,390円〜
<内訳>
Remote Access Pro ¥1,800 + ルーターレンタル ¥1,890 + データ通信料(20GBプラン)¥1,700 = 月額 ¥5,390(ルーター込み)
※構成・機器・契約条件によって異なります。
② Windows端末・GUI端末を遠隔操作
対応ライセンス
Remote Access Pro(10台まで利用可能なライセンス)
画面を持つPCや端末を遠隔から操作する用途です。
工場・店舗・遠隔拠点などに設置された端末のメンテナンスや設定変更に利用できます。
VPN構築やポート開放を伴う大規模なネットワーク変更を抑えた構成を検討できます。
料金目安
10台利用時、1台あたり月額630円〜
内訳
・Remote Access Proライセンス 1,800円(10台利用時)1台あたり180円
・データ通信料(10GBプラン)450円/回線
※構成・ライセンス条件によって異なります。
③ コマンド操作機器を遠隔操作
Splashtop Connectorを中継点として利用し、SSH・RDP・VNCなどに対応した機器へアクセスします。GUIを持たない機器のコマンド操作にも対応します。
対応ライセンス
Remote Access Enterprise+Connector for Remote Accessなど
Splashtop Connectorを中継点として利用し、RDP・VNC・SSHなどに対応した機器へアクセスします。
例えば、
・Windowsサーバー
・Linux端末
・Raspberry Piなどのエッジデバイス
・IoTゲートウェイ
・ネットワーク機器
などの遠隔保守に利用できます。
料金目安
10台利用時、1台あたり月額865円〜
内訳
・Remote Access Enterprise 3,300円(10台利用時)1台あたり330円
・Connector for Remote Access License 850円(10台利用時)1台あたり85円
・データ通信料(10GBプラン)450円/回線
※構成・ライセンス条件によって異なります。
導入によって期待できる効果
Splashtop by Misora Connectの導入によって次のような効果が期待できます。

よくある技術的な質問
-
既存のSIMや回線は使えますか?
-
Splashtop自体は、インターネットへ接続できる既存の通信環境でも利用できます。
すでにミソラコネクトのSIMをご利用いただいている場合も、Splashtopと組み合わせた構成をご相談いただけます。
他社回線を含めた具体的な対応可否については、利用する機器やネットワーク構成によって異なるため、事前にご確認ください。
-
Splashtop単体でも使えますか?
-
はい。Splashtop単体でも利用できます。
ただし、Splashtop自体が通信回線を提供するわけではないため、接続先PCはWi-Fi、有線LAN、モバイル回線など、何らかの通信環境に接続している必要があります。
ミソラコネクトのSIM通信と組み合わせることで、リモートアクセスだけでなく、現場側の通信環境も含めて導入を検討できる点が特徴です。
-
閉域網は必須ですか?
-
必須ではありません。
Splashtopでは、暗号化されたリモートセッションや多要素認証、デバイス認証、アクセス権限管理などのセキュリティ機能を利用できます。
さらに、通信経路や通信先を限定したい場合には、M-Airの閉域接続やIPアクセス制限などを組み合わせることができます。
必要な構成は、お客さまのセキュリティポリシーやシステム要件によって異なります。
-
VPNとは何が違いますか?
-
VPNは、拠点や端末の間に論理的なプライベートネットワークを構築する仕組みです。
一方、Splashtopは、対象となるPCや端末へリモートアクセスするためのサービスです。
Splashtopでは接続先端末側から通信を開始するため、一般的な利用構成では、対象端末をインターネットへ直接公開するためのポート開放は必要ありません。
また、VPNゲートウェイを新たに構築せずに利用できるため、ネットワーク構成によっては導入や運用の負担を抑えることができます。
どちらが適しているかは、アクセス対象や既存ネットワーク、セキュリティ要件によって異なります。
まとめ
Splashtop by Misora Connectは、リモートアクセスツール「Splashtop」と、ミソラコネクトの法人向けモバイル通信を組み合わせたソリューションです。
SIM回線を現場側の通信手段として利用することで、既存のWi-Fiや有線LAN、VPN環境に依存せずにリモート保守環境を構築できる場合があります。
また、Splashtopでは、対象端末から外向きに通信を開始する方式を利用するため、一般的な利用構成ではインターネット側から対象端末へ直接アクセスするためのポート開放を必要としません。
さらに、用途に応じてM-Airの閉域接続やIPアクセス制限などを組み合わせることで、通信経路や通信先を限定した構成も検討できます。
「現場にネットワーク環境がない」
「既存ネットワークをなるべく変更したくない」
「遠隔地のPCやIoT機器を保守したい」
「VPN構築・運用の負担を減らしたい」
といった課題がある場合には、Splashtop by Misora Connectを活用したリモート保守環境が選択肢の一つになります。
自社のネットワーク構成や対象機器に合わせた導入方法について詳しく知りたい方は、ミソラコネクトまでお気軽にお問い合わせください。